
私の住んでいる香川県高松市では、毎年7月の初めにトライアスロンの大会が開催されている。昔から気にはなっていたのだが、いつもこの時期は息子のピアノ発表会があるため観戦に行けなかった。しかし今年はピアノ発表会の日程がずれたため、朝早いのだが思い切って観戦に行くことに。
実は家内の古くからの友人にトライアスロン愛好者がおり、神奈川県から数年置きに香川県に遊びに来てくれる。香川県滞在は彼女にとって休暇中にもかかわらず、こちらから見ると信じられない運動を日々のルーティンとしてこなしていた。彼女はとても溌溂としており、何事にもポジティブで、人として見習う事が多い。
彼女の何がトライアスロンへと駆り立てるのか。そこまで彼女を惹きつけるトライアスロンとは何なのか。
一人の純粋なスポーツ好きとして、以前より少なからず興味を持っていた。と言う訳で、「サンポート高松トライアスロン」観戦記。私にとって初トライアスロン観戦。
そこには「順位」では語れない魅力と、「己」と戦い続けた選手達のあまりに美しい姿があった。
サンポート高松トライアスロン概要
- 総距離:51.5km(制限時間240分)(スタンダードディスタンス)
- スイム:1.5km(制限時間50分)
- バイク:40km(制限時間100分)
- ラン:10km(制限時間90分)
- 予備知識:スイム→バイク→ランの順番。それぞれの種目で制限時間を超えると失格となる。ゴールはあなぶきアリーナメイン会場。約500名が参加。
スイム!1.5km
7/6、快晴。高松行き電車の時刻を勘違いしており、高松駅到着が若干遅れる。改札を出て、かなりの強風にあおられる。「こんな状況の海を本当に泳いでいるのだろうか」と思いながら、スイム会場となっているあなぶきアリーナ北側の海へと向かう。海沿いには多くの観戦者の姿が見える。観戦者の隙間から海を眺めると、7時スタートだった選手達の戦いは、既に始まっていた。


いつもは穏やかな瀬戸内海も、強風の為ずいぶんな時化。観戦する分には風があっていいが、この海の中を泳いでいる選手達にとっては別。そんじょそこらの泳力では前に進む事すら難しそうな荒波が、容赦なく選手達の体力を奪っていく。家族みんなで選手達の頑張りを見つめる。
次第に有力選手が1.5km泳ぎ切り、次のバイクへ向かい出した。バイク会場はあなぶきアリーナ→北側の道路を回っての中央通りだ。海を背に、バイクを駆って中央通りへ向かう選手達を拍手で見送りながらも、私は最後の一人が泳ぎ切るまでスイム会場に残り続けていた。スポーツなのだから、もちろん順位は大切だ。しかしこの過酷な状況で戦っている選手達に、順位など何の意味があろうか。
制限時間の50分が迫る中、まばらになった観戦者と共に手を叩いて選手達を鼓舞する。スイム会場を担当していた高松北高校の応援団&チアも精一杯応援を続けている。選手よりも数が多くなったライフセーバー達は、いつ不測の事態が起きても対応できるよう、選手との適切な距離を保ち続けている。ここへ来て風はより強くなり、海は大時化と言っても差し障りの無いコンディションになっていた。50分近く泳ぎ続けた選手達は、もはや気力だけで泳いでいるように見える。いつ溺れてもおかしくない。
制限時間ギリギリに岸へ辿り着いた選手は、フラフラになりながらも休むことなく、その足を次のバイク会場へ向け、走り出した。目頭が熱くなる。残り数名の選手を残し、無情にもタイムアップを迎える。しかし残された選手達は誰一人諦める事無く、皆最後まで泳ぎ切った。本当に、本当に見事だった。

スペシャルアンバサダー・福士加代子さんの応援も良かったです。この状況、やっぱり感情的になっちゃうよね。
バイク!40km
スイムを通過した選手達は、休む間もなくバイク40kmへ向かう。信じられない体力。水中では気付かなかったが、バイクに跨って凄いスピードで飛び出していく選手達は当然皆ムッキムキ。

私は最後までスイム会場に残っていたためバイク会場へは応援に行けなかったが、あのスイムの後40kmバイクで走って来るというのは正に想像を絶する世界。本当に凄い。
しばらく待っていると、40km走り終えた選手達がまた続々とあなぶきアリーナへ帰って来た。最後はランだ!
ラン!10km
ラン会場はあなぶきアリーナ→赤灯台となる。選手達がバイクから帰ってくるとコースにあたる道路は全て通行止め(渡れなくなる)となるため、あまり深く考えずにウロウロしていた我が家はフェリー乗り場のあたりに取り残され、赤灯台方面へ向かう術を失う。失敗した!
気を取り直して、観戦できる場所で拍手と声掛けで選手達を応援する。


当たり前だが、この時点で残っている選手達は1.5km泳いで、40km自転車をこいで、その後に10km走っている事になる。なんじゃそりゃ、地獄かよ!家内の友人曰く「だからこそ、それを乗り越えた時の達成感がたまらない」との言。みんな変態かよ!(最大限の誉め言葉です)
この時間には正に灼熱と化した太陽が、選手達の残された体力を容赦なく削っていく。相変わらず吹いている強い風も、選手達には辛そうだ。ただ立って応援しているだけでも汗が噴き出てくるのだ。走っている選手達の疲労など最早想像もつかない。
歯を食いしばり、前だけを見て走り続けている選手達には、何が見えているのだろうか。何と戦っているのだろうか。私は目を凝らす。
「己」なのだ。見ているのは、妥協せずベストを尽くしている「仮の自分」の背中。戦っているのは自分自身。それはトライアスロンを初めて観た私の勝手な想像なのだけど、とても崇高で、それでいてたまらなく「美しく」見えた。
10kmを走り終える選手達は、ゴール地点であるあなぶきアリーナへ向かう。私達もゴールの瞬間を見届けるため、あなぶきアリーナへ向かった。
ゴール!

51.5km。泳いで、こいで、走った選手達が、続々とゴールテープを切る。選手も観戦者も晴れやかな笑顔。同伴者(ご家族等)とゴールできる演出が粋。観戦者は自然と拍手をする。
自分に甘えず、厳しい鍛錬を続けてきた人は斯くも美しいものか。完走した人も出来なかった人も、みんな本当に輝いていました。感動をありがとうございました!
まとめ
- サンポート高松トライアスロンへ観戦に行って来ました!
- 初観戦のトライアスロンは、とても素晴らしかったです!
- スタッフさんも応援団の高校生たちもお疲れ様でした!
- 行った事の無い方は、来年は是非選手達を応援しに行ってみて下さいね!
私も頑張らないと!最後までお読みいただき、ありがとうございました。