イバン・ラベネルの放った試合終了間際の3Pシュートがリングに弾かれた瞬間、鹿児島レブナイズのブースターからは絶叫に似た歓声が、香川ファイブアローズのブースターからは悲鳴に近い溜息が漏れた。B3リーグ2023-2024シーズンプレイオフ、セミファイナル。勝ち上がった方が来季B2へと昇格する大一番。両チームの選手・ブースターが作り上げた異様な熱気に包まれた高松市総合体育館の片隅で、私達家族は受け入れ難い現実をしばらく呆然と眺めていた。
「無料チケットがあるから行ってみませんか?」。家内が知り合いからそう言われて貰ってきたチケットには、香川ファイブアローズのホーム試合の日程が書かれていた。2023年秋の事だった。こうして初めて高松市総合体育館へ足を運んだ私達は、その後徐々に頻度を上げて通うようになる。最初は全く分からなかった選手達の顔と名前が一致するようになった頃、私達家族にとって香川ファイブアローズは無くてはならないものになった。特に初めてプロスポーツに触れた息子のハマり具合は、見ているこちらも嬉しくなるほどだった。香川ファイブアローズのホーム試合のある週末は、高松市総合体育館へ応援に行き、無い週末はバスケットゴールのある近所の公園でバスケをして過ごした。息子の応援に応えるように香川ファイブアローズはレギュラーシーズン2位を死守し、プレイオフセミファイナルを有利な条件で戦えるホーム開催権を勝ち取った。レギュラーシーズンの成績通りにプレイオフを勝ち上がった場合、順当に行けばセミファイナルで当たるのは3位鹿児島レブナイズだった。レギュラーシーズンの成績では分がいい。ホーム開催。好条件は整っていた。B2昇格を決め、歓喜に沸く高松市総合体育館を想像し足を運んだセミファイナルで私達が見たのは、頭からタオルをすっぽり被りベンチでうなだれる香川ファイブアローズの選手達と、悔し涙にむせぶキャプテン上良潤起の姿だった。香川ファイブアローズは負けたのだ。

アレックス・デイビスが持ち前の高さでジャンプボールに競り勝った。立ち上がりの間隙をぬってブレコット・チャップマンがいきなりダンクを決める。一回り大きくなった息子は、昨シーズンよりも大きな声を出して応援を始めた。家内は、お気に入りのムッサ・ダマのタオルを膝にかけている。新キャプテン近藤崚太の3Pシュートがリングに嫌われ、息子と一緒に頭を抱えた。1度や2度跳ね返されようが、ドライブからのレイアップシュートを高橋兄弟はあきらめずにトライする。苦しい時間帯、満尾竜次の不意の3Pシュートがズバッと決まった。応援にも熱が入る。
頑張れファイブアローズ。
根來新之助が体を張った守備で相手選手に楽をさせない。岡田優介は黒子に徹しながらも虎視眈々と3Pを打つ隙を窺っている。請田祐哉がスティールしたボールを、ゴール下のムッサ・ダマが捻じ込んだ。家内と息子が手を叩いて喜ぶ。
頑張れファイブアローズ。
声を出しすぎて喉が痛い。けどそれがどうした?横に座る息子は嗄らした声を振り絞って応援を続けている。1点を争う最終盤、タイムアウト中に籔内ヘッドコーチの声が響く。ユナイテッドアーチャーズのダンスにも熱が入る。
頑張れファイブアローズ。
佐藤大介とニューベリーリチャードは出番がなかったが、いつ声が掛かっても万全で出られるよう試合前入念なアップを行っている事を私達は知っている。
頑張れファイブアローズ。
試合終了後、会場ロビーで見かけたリトルアローズ達は「疲労なんて知らない」と言わんばかりに若い生命力に溢れている。体育館出口でブースターを見送る神破命は、やはり勝ち試合の時は嬉しそうだ。
2024-2025シーズン、レギュラーシーズン終盤の香川ファイブアローズは現在3位だ。今年のプレイオフはどんな結末が待っているのか。願わくばハッピーエンドを。
頑張れ!香川ファイブアローズ!!

コメント
会場で試合を観てる気分になった!
頑張れファイブアローズ!
コメントありがとうございます。
みんなで一丸となって応援しましょう!
頑張れファイブアローズ!