
今日4月26日は香川ファイブアローズにとって大事なプレイオフ初戦。もちろん現地へ観戦に行ってきたので、観戦記を書き残す。あくまでスポーツ観戦好きの素人が書いていることなので、その点は御了承頂きたい。
試合前
11:50 所用のため開場ギリギリに到着。前回同様の行列は覚悟していたが、それどころではない。香川県では大型連休の有名うどん店以外では見たことのないような列の長さ。急いで最後尾に並ぶ。並んだ瞬間、列はまだまだ伸びていく。本試合は先着の来場者特典があるからだろうか、とにかく人が多い。特典なんか関係なくレギュラーシーズンから毎回このくらい来てくれたらな・・・と愚痴を垂れてもしょうがない。何で釣られて来たにせよ、いないよりいた方がいい。ブースターの圧力が相手チームを萎縮させ、自チームを鼓舞する。バスケに限らず、スポーツ現地観戦の醍醐味だ。存分に味わおうではないか、イエローがオレンジを飲み込む瞬間を。
入場で待っている間、上空をブルーインパルスが凄まじいスピードで通過する。私の古い携帯電話では起動が間に合わず。明日も通過するとの情報を頂いたので、明日こそはきちんと撮ろう。

12:15 入場。先着特典をゲットできて一安心する。今回は指定席を買ったのでゆっくり席を目指す。2Fメイン席ほぼ中央。上の方だが全体を俯瞰して見やすいので良し。ちなみに明日は自由席なので、今から気が重い。選手のアップを見ながら持参した昼食を食べる。選手達は特に気負った様子もなく、いつも通りに見える。東京八王子ビートレインズ戦GAME1の観戦記に書いたが、私的なプレイオフ注目選手AD(アレックス・デイビス選手)のコンデイションに特に目を凝らす。新潟の選手はあえてあまり見ないようにした。少なくとも今日は、相手どうこうよりも「自分達が戦えるか」に集中したかったからだ。
13:15 選手入場。UA(ユナイテッド・アーチャーズ)のパフォーマンスを見るがZEROさんがいないことに気付く。少し嫌な予感がする。今シーズンいつだったか、滅多にない事だがZEROさんがいない試合での敗戦を経験したからだ。あまり考えすぎないようにして、声援を送る。

13:50 開場前の行列は何だったのか、空席が目立つ。イエローがオレンジを飲み込む?これでは無理だ。不安が増す。プレイオフ初戦が始まるというのに、この有様。2000人すら満たない会場に、新潟のブースターは驚いているのではないだろうか。一抹の不安を覚えながら試合開始を見守る。(昨シーズンのクォーターファイナルはもっと酷かったが。)
試合開始!
第1クォーター
14:00 TIP OFF。ファイブアローズのスタメンはいつもの5名、AD、(ブレコット・)チャップマン(選手)、キャプテン(近藤崚太選手)、請田(祐哉選手)、満尾(竜次選手)。ファイブアローズの得点はキャプテンの3Pから。キャプテンはいつも以上に鋭い目つきでコートを睨んでいる。頼もしい。
わざとなのか何なのか、新潟のディフェンスが相当ゆるい事に気付く。ファイブアローズが誰でも得点が取れることを知らないはずはない。特に3Pライン付近は「どうぞ打ってください」と言っているような気すらする。ゴール下の侵入もタイトに来ない。私の予想でしかないが、おそらくハードなデイフェンスをしてフリースローを与えるよりもフィールドゴールの成功率の低さに賭ける作戦に見える。ハードに行かない分体力面での利点もある。ファイブアローズのフロースローからの得点力は今季のB3レギュラーシーズン1位だ(フリーアナウンサーの能政夕介さんの記事より)。
そんなことを思いながら暫く見ていると、ファイブアローズの得点源AD&チャップマンともにフィールドゴールの成功率が低い事に気付く。極めつけは(高橋)克実(選手)のフリースロー2本外し。「あぁダメな日か」と思う。昨年のプレイオフを観た方は鹿児島レブナイズ戦を思い出したのではないだろうか。負ける日は本当にシュートが入らない。タフショットしてる訳でもないのに入らない。これは何故かは説明し辛い。とにかく負け試合はいつもこうなる。「今日やけにシュート入らなかったよね」と。香川ファイブアローズは平均スタッツ20点以上取った選手はいない。多少調子が悪かろうが、関係なく得点を重ねるスコアラーがいない。それは良さでもあるが、こういう時は困る。「誰か何とかしてくれ」と祈るように見つめながら第1Qが終わる。15-21で新潟リード。新潟に引きずられたのか、私にはファイブアローズのディフェンスもここ最近の試合に比べて覇気を感じなかった。
第2クォーター
14:18 第2Q。開始1分でファイブアローズがチームファウル3つ。更に2分後に4つ目をもらい、7:30を残して4ファウルとなる。展開は苦しいがファイブアローズのエンジンがようやくかかり始める。相変わらずシュートがリングに嫌われながらも得点を重ね、逆転。第1Q気になったディフェンスもハードになり、新潟の攻撃のリズムを崩す。特に請田&ADが先陣を切るオールコートディフェンスは効果的だった。42-33香川リードでハーフタイム突入。
新潟は#0(樋口選手)がボールを運ぶ&散らして#22(カイル選手)がフィニッシュするのが攻撃の基本線。プラスして#1(川村選手)や#7(五十嵐選手)には単独で突破&得点力もある。油断はできない。
第3クォーター
15:05 第3Q。スタメンに戻って開始。#22(キャプテン)対#0(樋口選手)のマッチアップが熱い。闘争本能に火が付いたのか、キャプテンが3Pを沈めまくる。第2Qに引き続きファイブアローズがファウル先行するも、引かない。残り4分、キャプテン→チャップマンと連続3Pが入り新潟がたまらずタイムアウトを取る。イケる雰囲気になりそうなところを新潟#1が踏みとどまり、ファイブアローズに決定打を与えない。59-46香川リードで終了。相変わらず全体的にシュート成功率が低い。
この日は前節の主役、岡田(優介)選手は試投すらせず。若手に譲る気持ちが強いからだろうか、シーズン後半、特に引退を表明されてからはより打たなくなったような気がして寂しい。引退しようが何だろうが構わない。ファイブアローズには岡田選手の力が必要です。外れてもいい。もっとセルフィッシュに打つ岡田選手を観たい。
休憩時間
13点差。どことなくブースターの弛緩した雰囲気を感じ取る。「なんとか勝てそう」と。「まずいな」と私は思う。
回想。2005年夏。私は250ccのバイクに跨り、10時間かけて破壊されつくされた故郷に帰省した。新潟県に入るまではいつも通り。1年近く時が経っていても新潟県内の道路は至る所で分断され、信じられないくらい長い片道交互通行になった道路を何度も通った。実家の両親は元気だったが、生まれ育った家は大きな亀裂が入っていた。私は、その時見た長岡花火の震災復興プログラム「フェニックス」を生涯忘れない。新潟、彼らのホームとしている長岡は不屈の街だ。決して表には出さないが、誰にも砕けない固い信念を持つ。このまま終わる気か?私は私に流れている血に問いかける。
第4クォーター
15:25 第4Q開始。新潟の猛烈な逆襲が始まる。ベテランが多いからか感情を露にした態度はとらないが、内に秘めた声が迸る。「香川を黙らせろ」。私は抵抗するように声を張り上げる。
ファイブアローズが途端に点数が入らなくなる。ファイブアローズあるあるではあるがあまりに長い。約4分間経って、ムッサのダンクでようやく初得点。籔(内HC)さん、もう少し早く動いた方が良かったと思う。このパターンで、築いたリードをあっという間に失うことがファイブアローズには多すぎる。結果論になるから私は卑怯だろうか。
点差は完全になくなり、残り5分。やはり一番信頼がおけるのだろう、コート上はスタメンの5人になった。間もなく、今日絶好調のキャプテンが負傷退場。負担がかかり過ぎたのだろう、足がつっている。チームとしてはあまりに痛い。克実イン。得点源のAD、チャップマンは最後まで復調せず。残り5秒。奇跡的にジャンプボールシチュエーションでノーファウルでボール奪取に成功する。嗄れ切った喉で声援を送り続けるが、叶わず。敗戦のブザーを聞く。73-75新潟アルビレックスBBの勝利。

試合後
私がこのブログを書き始めて初めての敗戦だったため、正直辛い。私は新潟に縁も所縁があるが、それでも香川ファイブアローズに勝ち上がってほしい。帰りのロビーで月曜日に関する発言をするブースターが多くいた。嫌な予感は消えない。月曜日を語れるのは、初戦を取った方のブースターだけだ。まだ「何だかんだ最終的には新潟には勝てる」とでも思っているのだろうか。選手達は戦っていると思う。ブースターは戦えているのだろうか。四位一体。手遅れは終戦を意味する。