
私が東京→香川県へ移住したのが今から約15年前。それまで香川県はおろか、四国に行った事もない状態で移住しました。なぜ移住したのか、正直に第一理由を言うと
都内でのSE(システムエンジニア)がしんど過ぎたので、とにかく逃げたかった
というのがあります。当時の状況は以下でした。
- 年収が300万円程度(手取りじゃなくて総支給です)
- データセンターの中位SEだったため、専用携帯が支給され24時間365日対応必須
- 平均帰宅時間が23時くらい。22時会議予約とかもざら
- 日進月歩で進化し続ける技術へ対応するため、常時自己研鑽が必要
- 元々文系出身でシステムへの素養があまり無かった。周りのSEのレベルが高く、劣等感があり自己肯定感が低かった
- この環境で年を重ねる未来が描けなかった
当時、上記の様な状況にも関わらず結婚してくれた今の家内に報いたいと、自分なりに頑張っていくつかIT系の資格取得もしましたが、日々の暮らしに随分疲弊していました。そんな時、都内で知り合ってその後香川県で働いていた知り合いの方(この方はUターン)から「こっちに来てみないか?」という誘いがあり思い切って世帯毎移住しました。家内の所有している国家資格の関係上、どこでも働けたというのもあります。また、上記状態だったので私の方は失う物など皆無でした。
今にして思うと大胆な決断なのですが、当時は若かったこともありあまり深く考えずに決断しました。が、もちろん移住決断前に下見にくらいは数回行きました。そこで感じた「これなら行ける!」と、当時私達夫婦が決断した理由5選を今回は紹介します。

この記事の目次
移住を決断した香川県のいいところ5選
以下になります。ちなみに誘われた会社は高松市市街地にある会社だったので、その周辺に住む前提で想定しました。
- 車が無くても生活可能
- 坂道が少ない
- 空港へのアクセスがいい
- ワークライフバランスが改善される
- 東京都と比較して住居費が安い
1つずつ簡単に解説。
車が無くても生活可能
返す返すも「高松市市街地周辺に住む」前提ですが、車無くても自転車があれば生活できます。これは非常に大きい。私は生まれ育った所がド田舎で大人の数だけ車があるのが前提の地域だったのですが、進学で上京して考え方が変わりました。「車のいらない地域に住めばいい」と。
これは人によるところもあるかと思いますが、私はそもそも「移動」に時間とお金を使う事が好きではありません。従って都内に住んでいた時も、大学生だった時は大学へ自転車で行ける距離、会社員の時は色々と勤務地が変わりましたが、移動しやすいようにターミナル駅に居を構えていました。当時都内では「(吉祥寺駅がある)中央線沿線」が人気エリアだったのですが、「井の頭公園?オシャレなお店?毎日行くわけじゃないんだから、行きたいなら休みの日に行けばいい」との考えで、平日の移動時間重視でした。
そこで高松市。「車が無い」と人に言うと色々と言われるのですが、そもそも勤務地の近くに住めばいりません。スーパーやドラッグストア、病院(クリニック)や銀行等は市街地に適度に点在しています。市街地に無い物(大物家具等)は、必要な時にレンタカーすればOKですし、ネット購入という手段もあります。また、当時中型バイクは持っていたので、家内と二人で暮らす分には全く問題ありませんでした。
・・・ただし子供が生まれると少し事情が変わってくるんですよね。3人になるのでバイクは無理。「休日少し離れた〇〇へ行きたい」や「私立へ通わせたい」や「どの高校へ進学するか」等によっては、公共機関が脆弱なので車が必要になってくるかもしれません。ただし今はTimes等のシェアカーがあるので、必要ならばそういうのを活用していこうかと思っています。

坂道が少ない
先に挙げたように自転車中心の生活を想定した際に、坂道の有無は大きい。これも都内の話ですが、東京都って本来はとても人の住むところじゃなくて本当に坂道だらけでした。だから「乃木坂」とか「~坂」ってのが至る所にあって、距離が近くても(歩いてる人も多いので)自転車では移動しにくい場所でした。それに比べて高松市はほぼ平坦。この辺も「車無くてもいける」の判断を後押ししました。

空港へのアクセスがいい
これも高松市に限りますが、30分位バスに乗れば空港に着くのは破格。東京へのアクセスがいいのは、田舎暮らしというものを全く知らない都会育ちの家内にとって大きかったように思います。有り体に言うとコンパクトシティとかいう奴です。

ワークライフバランスが改善される
これ東京で働いている(住んでいる)と麻痺してきて「これが当たり前」と思ってくるんですが、本当にみんなよく働くんですよね。今は多少は変わっているのかもしれませんが、夜9時退社なら「今日は早い!」って感じで、街も電車も深夜まで人で溢れていてどこもギュウギュウ。急いで家に帰っても食べて風呂入って(資格勉強して)寝るだけで、朝また出社の繰り返し。これで給料がいい訳でもなく、日々の生活でほぼ消費されていると本当「何の為に生きてるんだろう」って、ふと思ったりするんですね。学生終わって都心に住み続けるならば「お金」か「時間」のどちらか、あるいはその両方を持っていないと楽しめなくなってきます。

その点、高松市に限らず地方都市は全般的にそうなのかもしれませんが、夜はちゃんと「夜」で静かになります。会社や職種によっては夜遅くまで働いている方もいらっしゃるかとは思いますが、街全体で「まだまだやれるよね?」と言った感じはありません。むやみに毎日の様に夜遅くまで拘束され疲弊しきっていた当時の私から見ると、夜静かな街というのは魅力的に見えました。
東京都と比較して居住費が安い
移住検討時は都内と比べておおまかに「広さ1.5倍で家賃半分」ぐらいだったので、どの物件を見ても「安い!広い!」と驚きました。東京都心に住む上での最大のネックは居住費の高さです。それを補って余りある職業に就いているか、あるいは家賃補助のある会社なら良いのでしょうが、そのどちらも無いと正に「何の為に生きているんだろう」になります。男の一人暮らしならどうとでもなるのですが、結婚して配偶者がいる(さらにその配偶者の育ちがいい)と話は別。今の若者たちの婚姻数減の最大の理由とも重なりますが、「稼げない人」は色々と「諦める」しかなくなります。
その点、高松市は東京都と比べた時、空間的にもプライベートな時間的にも明らかにゆったりと暮らせます。ちなみに、たまに移住希望者や、逆に都会に住んだ事の無い地方居住者で勘違いしている方がいらっしゃるのですが、食費に関しては都会も田舎もあまり変わりません。都内は無茶苦茶安いスーパーもあれば無茶苦茶高いスーパーもあり、その多様性こそが「都会」たる所以なので、自分がどこに合わせるかになります。むしろ「安さ」を追求するならば都内の方が食費は安く済みます。従って「田舎へ移住すれば生活費が安くなる」という勘違いはしない方がいいです。居住費が安いからと言って、都会ではできなかった広い家に住む&車を所有すると恐らく生活費は逆転します。

まとめ
- 約15年前、私達夫婦が東京→香川県への移住を決断した「香川県のいいところ5選」をご紹介しました。
- 移住を検討されている方は是非参考にして下さいね。
- ただしあくまで個人の感想になりますので、その点は御了承下さいね。
よく聞く「自然豊か」とかそういうのは生まれ故郷で散々味わったので、少なくとも私は候補に挙がりませんでした。田舎と都会どちらもそれぞれ良い所・悪い所がありますが、両方住んだ私は正直に言うと「人は都会で育った方がいい」と思っています。中学・高校生の頃、よく聴いていた長渕剛さんの『とんぼ』は深く刺さりました。
死にたいくらいに憧れた
華の都大東京
ー長渕剛『とんぼ』より引用
わたしは「薄っぺらのボストンバッグ」ではなく「ぱんぱんのリュックサック」を背負って南へ南へ向いましたが、やはり都会の「多様性」は人を大きく成長させると思っています。私の力不足で息子には「東京生まれ東京育ち」は無理でしたが、いずれどこかの大都市に一度は住んで欲しいと願っています。

補足
今回の記事はあくまで「移住するまで」に感じた事です。実際に住んでみてどう感じるかは人それぞれです。15年前の方がハードルが高かったとは思いますが、今でもきっと移住は簡単ではありません。その辺のネガティブな点も以前綴ったことがあるので、良かったら参考にして下さい。気分を害した方がいたらごめんなさい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。