【麻雀】忍田幸夫さんの事を話したい【Mリーグ】
Mリーグ -ABEMAより引用

以前ドンジャラを紹介する記事の際に少し触れたが、私は麻雀がまあまあ好きで数年前から麻雀団体戦「Mリーグ」をABEMA TVで度々視聴している。

2024-2025Mリーグのポスター ーABEMAより引用

「毎回欠かさず見る」というほどではなく、夕食後の皿洗い&食器拭きの時や、家内と息子が寝静まった後に勉強や読書をしながら少し息抜きに見るといった具合だ。だが見始めた頃は正に「食い入るように」観ていた。

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Mリーグの事

前から存在を知ってはいたが、初めてきちんとMリーグをシーズン通して視聴したのは2021-2022シーズン、KADOKAWAサクラナイツが初優勝した年だ。もともとはABEMA TVの将棋チャンネルを好んで視聴していたのだが、藤井聡太絡みの放送しかしない(さらに再放送ばっかりの)センスの無さに辟易としていた中、何となく麻雀チャンネルに手が止まった。そしてハマった。

華やかな演出。熱すぎる実況。個性豊かな選手達。あまりに深遠な頭脳戦・駆け引き。フィクションでも描けないような劇的な展開の連続。「麻雀」という素材を見事に「エンタメ」として昇華しており、私のようなライト層にはたまらない番組だった。ABEMA TVは麻雀最強戦や各麻雀団体の試合等も放送していたが、やはりMリーグは別格の面白さがあった。

この熱狂を外へ。

この頃の私は、上記スローガンを掲げて放送していたMリーグの熱狂の渦に正にどっぷり浸かっていた。

翌2022-2023シーズン、渋谷ABEMAS初優勝。このシーズンも面白かったのだが、シーズン終盤、私の心境に少し変化が訪れていた。正直に言うと「若干飽きてきた」のだ。Mリーグはそんなに人が入れ替わらないので、マンネリ化が課題だった。ただMリーグ機構もそれは分かっていたのだろう、シーズン終了後に新しい試みを始める。Mリーガーにプラスし、言ってしまえば「次期Mリーガー候補」とも言える雀士を招待し「Mトーナメント」という短期間のトーナメントを開いたのだ。

Mトーナメント2023 ーABEMAより引用

このMトーナメントに出てきた招待雀士の中に忍田幸夫さんがいた。

忍田幸夫さんの事

「夢はMリーガーになる事です」。

選手入場でそう言って出てきた忍田さんを観て、私は正直「無理だろう」と思った。齢60歳直前のどこにでもいそうな初老の風貌。政治力の弱い団体所属。

(全チームがそうという訳ではないが)Mリーグは実力制ではない。「強さ」はあくまで1要素でしかなく、最も重視されるのは「華やかさ」。次いで団体間の力関係。Mリーグとはエンタメなのだ。従って実力だけで見ればクビにされないであろう雀士も、容赦なく新陳代謝に巻き込まれてきた。その限られたMリーガーの枠に、今さら60歳の雀士が入る事などないだろう。ライト層にすら分かる事だった。

忍田さんは静かに卓に座った。普段Mリーグで使っている舞台に立てて嬉しそうだった。失礼ながらその時私は「いい思い出ができて良かったね」程度にしか思わなかった。その闘牌を見るまでは。

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夢はMリーガーになる事です

試合後、同卓した当時Mリーガーの松ヶ瀬隆弥選手がインタビューに答える。「忍田さんが強すぎて・・・」。試合から随分時間が経っても、私はテレビの前で興奮を隠せなかった。

「なんだこの人?!」

強さではない。いやそりゃ2半荘して2連勝したんだから強いんだが、麻雀の強さは運と隣り合わせだ。2半荘した程度でははっきり言って分からない。驚いたのはそこではない。

美しいのだ。所作も、読みも、醸し出す雰囲気も、その全てが。

私はすっかりこの初老の雀士に魅了されていた。

「夢はMリーガーになる事です」。

その言葉の重みは、観戦前と全く違って響いた。なぜこの人がMリーグにいないのか。なぜこの人がMリーガーになれないのか。そんな事があってはならない。私はこの時、強くそう思った。

忍田幸夫さん ーご本人のXより引用

夢を持ち続ける事の大切さを教えてくれた忍田さん

このMトーナメント以降、忍田さんは度々Mリーグの解説に呼ばれるようになった。やはり視聴者へ与えたインパクトは相当な物だったのだろうと想像に難くない。また、その柔らかなでウィットに富んだ軽快な語り口も好評の様だった。私も忍田さんが解説の時のMリーグ中継は、いつにも増して楽しく拝見させてもらった。

その後、何シーズンか経過しても忍田さんがMリーガーになる夢は叶わなかった。しかし変わらず忍田さんは夢を語り続けた。

「夢はMリーガーになる事です」。

2025年6月30日17:00、2025-2026シーズンへ向けたMリーグドラフト会議が開かれた。新チームの加入も相まって、発足時を除けば過去最大9名もの新たなMリーガーが誕生する日。Mリーグ熱の若干冷めていた私も、楽しみにドラフト結果を待った。

しかし、仕事を終えてスマホで結果を確認するも、ドラフト指名選手の中に「忍田幸夫」の文字は無かった。忍田さんは来シーズンもMリーガーになる事が出来なかったのだ。私は始めたばかりのXで思わず呟いた。

ポストしたX

麻雀の事なんて1度もポストしたことの無いアカウントだ。麻雀関係のフォロワーなんて誰もいない。いやフォロワー自体数えるほどしかいない。誰宛てでもない。ただ悔しかっただけで、私が私に呟いたようなものだった。

翌朝、そんなポストに「いいね」が1つだけついていた。

いいね

忍田さんのXのプロフィール欄には、今も変わらずこう書かれている。

Mリーグ入りを目標に、まだまだ頑張り続けます!

ー忍田幸夫さんのXより引用

いつ花開くか分からないけれど。花なんて最後まで開かないかもしれないけれど。

私もちっぽけな私の人生、あきらめずに頑張ろうと強く思う。

忍田幸夫さん、あなたの夢は私の夢でもあります。Mリーグ、皿洗いしながら見続けます。いつかあなたがあの舞台に立つその日まで。

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