
以前『魔女の宅急便』の読書感想文の記事でも綴ったが、息子の読むメインの本が成長に合わせて絵本→児童書へと変わってきており、今回読書感想文で取り上げる本もそんな児童書になる。今まで我が家がメインで使用していた「高松市中央図書館」のリニューアル閉館に伴い、最近使用し始めた「福祉ライブラリー」は、蔵書数は我が家のニーズを十分満たすほど豊富だが土日祝お休みの為、なかなか息子を連れだって一緒に行くことが難しい。と言う訳で、なんとなく息子が読みそうな児童書を親のセンスで借りてきたりするのだが、息子的に「当たり」じゃないと全く読まずに返却となったりする。ただし、私は生来の性格ゆえ、この「買ったのに使いませんでした」みたいになるのが本さんに申し訳なく、なんだかんだそういう時は
「私(40代中年男性)だけが児童書を読む」という、訳の分からない事態になる。
綴らないだけでそういう本もいっぱいあるのだが、今回の『ライラックのワンピース』は私の心に残ったので、短文ながら綴ろうかと思う。
『ライラックのワンピース』読書感想文
『ライラックのワンピース』小川雅子:作 めばち:画 ポプラ社
サッカーチームで大活躍のスポーツ少年「トモ」には、周りの友達には言えない「好きな事」があった。それは「裁縫」。「男の子らしくない」との思い込みから、トモはあくまで個人的な趣味の範囲で裁縫を楽しんでいたのだが、ひょんな事から出会った女の子「リラちゃん」に裁縫の特技を打ち明けてしまい、リラちゃんにとっての「思い出のワンピース」の丈伸ばしを依頼されてしまう。トモにとって難易度の高い挑戦になり、目前に迫っていたサッカーの大きな大会と両立することは難しい。そこでトモのとった行動とはー。
あらすじを書くとこんな感じのお話。本書は「第9回ポプラズッコケ文学新人賞大賞受賞作」であり、作家の小川氏はこの作品がデビュー作との事。デビュー作らしく粗削りなところが見えるが、伝えたいことは私に深く刺さった。
あなたは好きだったことを「好き」と言えなかった事はないですか?
私にはある。ピアノだ。私は小学校の学区内に信号機が2つしかないようなド田舎で生まれ育ったが、母親は35年前、幼少期の私にピアノを習わせた。男の子はおろか、女の子でも習っている子がほとんどいない、その地区では珍しい習い事だった。
私はピアノ自体は好きだった。なのにつまらない恥ずかしさが先に立ち「ピアノを好き」とは人に言えなかった。
次第に「好き」という思いも薄れ、10歳を越える頃に自然とピアノをやめてしまった。『ライラックのワンピース』は、そんな中年の奥底に埃をかぶっていた苦い記憶を呼び覚まし、少しセンチメンタルな気分にさせてくれる、そんな児童書。おそらく作者の小川氏が作中の「トモ君」なのかなぁと勝手に思ってしまった。トモ君にとっての「裁縫」が、小川氏にとっての「物語を書く」。私とは違い、本業を別に持ちつつ大人になっても「好き」を貫いて出版まで成し遂げたのだから凄いなぁと感心しました。私も「好き」だと自認して恥ずかしながらブログで「記事を書く」を始めたので、負けじと頑張りたいと思いました。素敵な物語をありがとうございました。

実は1月以上前に読んで既に図書館へ返却済の為、何かしら間違えている可能性もあるのでそこだけは御容赦下さい。大人の皆様もたまには児童書なんていかがでしょうか。もちろんお子様へはお勧めの1冊です!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
