
最近Audibleで聴いた本のまとめ記事です。通勤やウォーキング、ランニングの際是非ご参考にして下さい。
今までのAudibleお勧め本のご紹介記事はこちら。
『ナチュラルボーンチキン』 金原ひとみ
最近はまっている金原ひとみさんの小説。今回も漏れなく楽しませてもらいました。
主人公は「いつもと同じ」というルーティン化した生活を送る、45歳の独身女性「ハマノ」。出版会社の労務を担う中で、奔放に振る舞う別課の若い編集者「ヒラキ」(女性)と親しくなり、彼女に振り回されることで新しい世界へと導かれる。ハマノはハマノで、今のルーティン化された世界に落ち着いた理由があり物語が進むにつれてそれらが明かされていくのだが、痛みを伴いながらも最終的には彼女が随分前を向いて生きていけそうな「いい感じ」の終わりを迎える。よかったねぇ、頑張って欲しいなぁと、私は純粋に思う。
この作品に限らず私が読んだ(聴いた)金原さんの小説は、けっこう重いテーマが裏に隠れていながらもどこか明るい雰囲気に満ちていて、読んで(聴いて)いてひたすら面白い。それは彼女のバラエティに富んだ比喩表現が「いい線を突いている」のもあるけれど、それはきっと彼女の考え方も「いい線突いている」からだと思う。彼女の脳内では、文字ではなく映像として再生されるのだろうなぁ。突っ込みというか発想がぶっ飛んでいるんだけど、そのどれも妙にリアリティを感じる事ができる。まるで目の前で実際に起こってるかのような。お陰様で、都度ゲラゲラ笑える。
作品内の登場人物たちが簡単に引き下がらず(話題を変えず)、対話の中で相手の不思議なところ(理解できないところ)を深堀りするのも特徴的。それらのお陰で、何でもないような日常の一コマすらも個性的な魅力を放ち、結果としてどの作品も面白く感じる。
まあ回りくどい言い方をしたけれど、とどのつまり何が言いたいかというと
私のツボとぴったり合う。
という事です。という訳で、本作も面白かったしこれからも金原さんの作品は定期的に読んで(聴いて)いこうと改めて思いました。
ちなみに「とどのつまり」っていうのは出世魚である「ボラ」の最終成長段階が「トド」で、それ以上先の無い状態(つまり)だから、「最終的には~」的な意味で使われております(諸説あり)。はい、どうでもいい事でしたね、ありがとうございました。
『いなくなった私へ』 辻堂ゆめ
私的には初めて読む(聴く)作家さんの作品。意味深なタイトルとカバーイラストに惹かれて拝聴。人気絶頂のシンガーソングライター「リノ」が、ある朝なぜか渋谷のゴミ捨て場で目覚めると、周りの人達がリノを「リノ」だと認識できなくなっている(リノの視覚的には容姿が変わっていないのに、別人だと認識されてしまう)という不思議な物語。周りの人達が認識しているリノは、自宅マンション19階から飛び降り自殺したというニュースが流れている・・・。
インドのジャングル奥地で、とある部族に接触したイギリス人探検家の手記が度々物語に挿入されるが、中盤くらいでその手記に記された「輪廻の泉」と、リノの身に起こっている不思議な現実が微妙に交差し始める。ミステリ小説らしく、物語が進むにつれて新たな謎と予想もしなかった展開が繰り広げられ、「早く続きが聴きたいな」とワクワクさせてもらった。
個人的な事を綴ると、たまたまなのかもしれないが私はこういった事と似た状態になる夢をよく見る。つまり誰も私を認識しない夢だ。夢の中で私は必死に「私」である事を主張するが、周りの人達の反応はいまいち。今まではこの状態を「浦島太郎状態」と表現していたが、これからは「『いなくなった私へ』状態」と表現します。クソどうでもいい事でしたね、すみません。。
まあつまり題材的には似たような設定は溢れているけれど、見せ方が作家さんの腕の見せ所なんでしょうね。リノと同じ境遇に置かれた聡明な少年「イツキ」や、なぜか唯一彼女らをきちんと「彼女らとして」認識できる少し複雑な生い立ちのバンド大学生「タクト」、リノが所属していた芸能事務所の人間関係、不気味なカルト教団等、物語が一直線にならないような仕掛けが随所に散りばめられていて、またそれら幾重にも張り巡らされた伏線が見事に収束していく様はお見事。映画のエンディング後のオマケ映像みたいに、「あれどうなったんだろう」といった具合にチョイ役にも救いを用意してくれているところも良き。楽しませてもらいました。
読み手のリノの声も良かったです。リノは話し初めに「えっ」と戸惑う場面が多いのですが、その「えっ」がうまいし、kawaii。なんか癖になる響きで、こればっかりは「聴いてみて下さい」としか言えね。中年キモイ。。
物語は一応の終焉を迎えるが、自分を自分だと言えない・伝わらない悲しさはどうしても残る。この物語はもちろんフィクションだけれども、一度は途絶えた彼女らの人生の「第二部」に、幸多からん事を願わざるを得なかった。存在が消えた世界で。それでも彼女らは確かに存在しているし、それを悲劇ではなく「救い」と捉え直す姿勢に、登場人物達だけではなく私自身も救われた気がした。何事も生き方次第。妬まず、恨まず、(自分が消えようが)自分らしく。良い作品でした。
『ギャルにひかれて寺マルシェ』 宮島未奈
『成瀬は~』シリーズで一躍時の人となった宮島未奈さんの最新作。私の感想文としては『それゆけ!平安部』以来かな。ちなみに『成瀬は~』シリーズは全て読破しております。
今作は宮島さんお得意の学園ものではなく、30歳を迎えた大人の物語。以前拝読した『婚活マエストロ』も大人主人公の物語だったけれど、これで宮島作品としては2作目の大人物語になるような。まあ私の知らない著作があるかもしれないので、間違えていても悪しからず。。ただし「大人の物語」などと活字で表現すると何か違う気がしてしまうのが宮島さんの小説らしく、出てくる大人たちは皆とても若々しい。学生のまま大人になった様なノリの良さと勢いがある。・・・けれど、この小説はきっとこういった30前後の微妙な年頃を描くのが目的だったのだろうなぁとも思う。私自身の事を思い返しても、このくらいの年齢は色々と難しかった気がする。もう「若い」とも言えないし、おふざけが通じなくなってくるし、周りは家庭を持ち始めたりする。仕事、異性、お金、責任・・・。漠然と生きていくにはそろそろ限界で、覚悟を決めて決断しなくてはならない年頃だ。
主人公は、父の死に伴い家業の酒屋を「なんとなく」継いだエイスケ。久しぶりに再会した幼馴染・コウジに振り回され、同じく家業のお寺を引き継ぐべく副住職になった(と、聞いた)幼馴染のマミコのお寺へ赴く。お寺で再会したマミコは、なぜかギャルメイク全開のギャル僧「まみたん」として活躍していた・・・といったお話。マミコのお寺「リョウセンジ」は月に一度「リョウセンマルシェ」を行っており、地域の活性化に貢献すべく(&マミコが少し気になり)エイスケやコウジもマルシェに関わっていくようになるが、そこは物語らしく一筋縄ではいかない。うまくいったりいかなかったり、予想外のところから横槍が入ったりそれでも何とか解決したりと、色々な事を経験しながらエイスケ達は成長していく。
宮島さんの作品らしい点は、この「惰性で何となく生きてきた登場人物」が最後には「前向きな意志」を持って終わるところ。私も以前は惰性で何となく生きてきただけの人生だったが、数年前に心を入れ替え(意識的には)ポジティブに生きるようになったので、こういった「気の持ち様」の変化には共感するところがいっぱいある。きっかけは人それぞれ。何でもいい。例え同じことをするにしても、気の持ち様で人生は大きく変わるのだと、私は思う。宮島さんの作品からは、そういったポジティブな心の変化を感じ取ることが出来て「やっぱりいいなぁ」と改めて思いました。
これからも前向きになりたい時に読みたい作家さんです。良作。
まとめ
寒くなる→猫が人で暖を取る→夜更かし、という悪循環。幸せですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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